廃棄物処理を行うために必要な「契約書」も「マニフェスト」も書類上のことであり、それを運用するのは「法律を遵守する」
という意味では当然ですが、法律を全て守っていれば「適正処理」というわけではありません。
重要なことは「適正処理」をするために必要なことが法律になっているということです。
産業廃棄物の委託処理で必要なチェック項目を遠藤商会がご説明します。
廃棄物処理を行うために必要な「契約書」も「マニフェスト」も書類上のことであり、それを運用するのは「法律を遵守する」
という意味では当然ですが、法律を全て守っていれば「適正処理」というわけではありません。
重要なことは「適正処理」をするために必要なことが法律になっているということです。
「その産廃事業者が信頼できるかどうか」をチェックする一番の方法は何なのか・・・?
ズバリ「施設の見学」です。施設を見学することにより、契約書・運用しているマニフェストに記載されたとおりに
自社の委託
した廃棄物が処理されているかを確認します。排出事業者としての責任を果たすためには、委託者した廃棄物を自社で処理を
行なったのと同じように把握しておく必要があります。
ただ、日々委託する全ての廃棄物を自分の目で確認することはできません。
しかし、定期的あるいは抜き打ち的に施設を確認し、自社が排出した廃棄物が
実際にどのように処理されているかを直接確認することが必要です。
中間処理事業者に委託している場合には中間処理後の残さの行方まで、さらに
中間処理事業者が残さを委託している事業者の施設も見学して確認するといいでしょう。
定期的あるいは抜き打ち的に確認し、実際の廃棄物の動きを排出事業者が確認することで、
交付されるマニフェストの必要性も実感することができます。
通常の認可基準よりも厳しい基準をクリアした優良な産廃処理業者を都道府県・政令市が審査して認定する制度を
「優良産廃処理業者認定制度」といいます。この制度の認定を受けた事業者は「優良認定業者」と呼ばれ、
業の許可証に「優良」マークが表示されています。審査基準の概要は次のとおりです。
業の許可の有効期間内に事業停止命令、改善命令等の不利益処分を受けていないこと。
法人の基礎情報、業の許可の内容、処理施設の維持管理状況、
廃棄物の処理状況等所定の情報をインターネットで公表・更新していること。
ISO14001またはエコアクション21などの認証を受けていること。
電子マニフェストの利用が可能であること。
※これらに加え、5年以上の業の実績があることが前提とされています。
優良認定を受けるハードルはかなり高いことがお分かりいただけると思います。
しかし、あくまでも「情報公開」の優良性を審査・認定する仕組みであり、
実際の処理の適正性を判断しているものではない点については留意する必要があります。
適正性の判断はあくまでも排出事業者の責任で行うことが委託処理の前提であるからです。
それでは実際に産廃事業者をチェックする際にはどのような項目を見ていけばよいのでしょうか。
ここでは3種類の事業者ごとにチェック項目を挙げていきます。
まずは、廃棄物を中間処理工場や最終処分場に運搬してくれる収集運搬事業者のチェックです。
収集運搬事業者のチェックは非常に難しく、実際に運搬している様子を確認することは簡単にはできません。
それだけに日頃の管理と定期的な確認が必要になってきます。具体的なチェック項目は以下のとおりです。
続いては中間処理事業者です。
中間処理工場は収集運搬事業者とは違い、外部からの目を遮断する形で業務を行っています。
これは一部処理施設における建築基準に準ずる形でそのような構造になっているのですが、
いずれにせよ他の事業者とは違い、非常に注意点が多く、くまなくチェックする必要があるといえるでしょう。
工場見学などにより、施設内の様子まで実際に確認することが望まれます。
廃棄物のゴール地点である最終処分事業者のチェックです。
最終処分場などは定期的に監査をすれば仮に品目外の埋め立て行為や持ち出しがあったとしても、
比較的変化がつかみやすく、収集運搬事業者や中間処理事業者に比べると効果があります。
ここで挙げた事業者ごとのチェック項目はごく一部に過ぎません。
これらのチェックに対して「否」が数多く付いてしまう事業者は、企業体質として決して健全であるとはいえません。
前述しましたが、適正性の判断はあくまでも排出事業者の責任で行うものです。
こういった流れから見ても事業者の選定は慎重に行うことが重要であるといえます。
参考文献:(株)ジェネス/著「産業廃棄物処理がわかる本」日刊実業出版社、2006年