気象庁は14日、関東甲信地方の梅雨入りを発表しました。平年より1週間遅く、ここ10年で一番遅い梅雨入り。夏の夕立のような、急な激しい雨や雷雨、そしてシトシトと長く降る梅雨の雨に注意が必要となります。
梅雨の時期に大活躍するのが「傘」。
扇風機付きやしまう際に手が濡れないなど機能性が高いものや、ブランドや水族館などとコラボしたデザイン性のあるものなど、様々な傘が登場しています。憂鬱な気分となりがちな梅雨の時期の外出に、前向きな気持ちにさせてくれる手段の一つともなっています。
しかし、この「傘」のごみが大きな問題でもあるのです。
傘のごみ問題
日本での傘の消費量は年間で1億2000万本〜1億3000万本とされています。(日本洋傘振興協議会)そのうち8,000万本がビニール傘、その消費量は世界一とも言われています。
傘立てにずっと放置されているものや、路上に打ち捨てられているものなど、日常的に目にすることはなくとも、見た経験があるという方は多いのではないでしょうか?
日本人は傘を一人当たり平均3.3本も持っているという調査結果もあり、これは世界の中でもトップの数です。(ウェザーニュース)少なくとも1本は家にあることが多いにも関わらず、どこでも安く手に入るビニール傘をその場しのぎで購入するケースが多発しているのです。
そうしてビニール傘を持て余している状況になると、まとめて断捨離となることも少なくありません。また、電車や出先などで置き忘れてしまったとしても、「まあいいか」とそのまま放置されます。安価なものであれば無くしたとしても、壊れてしまったとしても、探しに行く労力や修理する手間をかける必要がないという考えになりがちです。
実際、東京都における警察に届く忘れ物の傘は、年間約24万本にも登ります(警視庁:遺失物取扱状況(令和2年中))。昨年は新型コロナ感染対策の外出自粛による影響か例年より少ない数ではありましたが、以前は30万本を超える傘が遺失物として届けられていました。しかしその一方で、持ち主の元に返還される傘はごくわずかで、毎年およそ1%前後となっております。
警察署長と特例施設占有者は、傘等の安価な物や保管に不相当な費用を要するものについては、2週間以内に落とし主が見つからない場合、売却等の処分ができることになっており、中には廃棄処分となるものもあります。
使い捨て製品のように扱われているビニール傘は、環境に与える影響が非常に大きいということはあまり知られていません。ビニール傘は強力な接着剤が使われているため分解に手間がかかります。加えて、ポリエチレンやポリ塩化ビニルなど材質も多種多様で、一目で材質を見分けられないためリサイクルが極めて困難なのです。そして、捨てられた傘の多くが埋め立て処理となっているようです。