世界ではたくさんの資源やエネルギーを使って多くのものが生産され、私たちはそれを消費しながら生活をしています。現在では、生産性が高まったことによりものにあふれている国も多くあります。しかし、現在のような生産性が永続的に続くということはなく、このままだと資源はいつか枯渇してしまう可能性が高いのです。現在の生産ペースが続くと、2030年には地球が2〜3つ必要になるともされています。
地球の限りある資源を守るためにも、衣料、食料、エネルギーなど……、色々な分野で少ない資源で、良質でより多くのものを得られるように生産や消費ができる形態が必要なのです。持続的開発を阻む要因の一つには、食品廃棄や有価物の投棄など資源の浪費が挙げられます。
食品ではなく「衣服ロス」?
以前の記事で「食品ロス」を取り上げました。毎日3回食事をとるため、食品ロスは身近に感じやすい問題とも言えます。しかし、実はより深刻とも言われているのが「衣服ロス」なのです。
「衣服ロス」とは、 新品であったり、まだ着ることができるのに捨てられてしまう衣服のこと を指します。
環境省が4月21日に発表した「ファッションと環境に関する調査」で、2020年の衣服の年間供給量は81万トンで、家庭や事業所から手放される衣服は78万トンと推計されました。そして手放される衣服の65%に当たる51万トンが廃棄されていることが明らかにされました。
2020年は新型コロナウイルス感染症の外出自粛等の影響により、食品ロスと同じく衣服ロスも大量に発生したとも言われています。
衣服ロスは、家庭から不要になった服が廃棄物として排出されるだけではなく、企業からも排出されます。 企業から排出される場合、過剰生産により在庫品となってしまったり、業者同士の取引の過程で必要がなくなってしまったりといった事情により生じています。ファッション・アパレル業界はブランド価値が重視される業界のため、再流通や値下げに消極的な傾向にあります。そのため在庫品は多くは、店頭に並ばずに焼却や埋め立てによって処分されます。
近年ではファストファッションの台頭やSNSの影響により衣服の消費サイクルが早まっており、1~2回だけ、1シーズンだけ着て捨ててしまうケースも珍しくありません。
衣服ロスの課題や対策については次回に続きます。